人工歯根のぐらつきや痛みはトラブルのサイン|受診前の注意点|倉敷市八王寺町の歯医者|山脇歯科・矯正歯科

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人工歯根のぐらつきや痛みはトラブルのサイン|受診前の注意点

人工歯根のぐらつきや痛みはトラブルのサイン|受診前の注意点

目次

人工歯根のぐらつきや痛みを感じたときに知っておきたいこと


人工歯根やその上の歯にぐらつきや痛みがあるときは、つなぎの部品のゆるみだけでなく、歯ぐきや骨に炎症が起きはじめているサインかもしれません。どこが動いているかは自分では見分けにくいため、むやみにさわらず、早めに歯科医院へ相談しましょう。この記事では、考えられる原因と受診を急ぐ目安、受診までにやめておきたいことをまとめます。


この記事の要点まとめ


  • ぐらつきや痛みは、部品のゆるみや炎症、かみ合わせの負担がかかわることがあるため、歯科医院でみてもらう。
  • はれや熱があるとき、痛みが強くなるときはその日のうちに連絡し、軽い違和感でも数日のうちに相談する。
  • 受診までは痛むところを揺らさず、症状をメモし、外れた部品はとっておく。

人工歯根のぐらつき・痛みで考えられるトラブルのサイン

人工歯根のぐらつき・痛みで考えられるトラブルのサイン

インプラント周辺の違和感には、主に部品のゆるみ、歯ぐきや骨の炎症、噛み合わせの負担が関わることがあります。これら以外の原因がかくれていることもあります。それぞれの仕組みと注意点を見ていきましょう。


上の人工歯やアバットメント・ネジのゆるみで起こる「浮く感じ」


噛んだときに歯が浮くように感じたり、カチカチと小さな音が鳴ったりする場合、上の人工歯やアバットメント(人工歯と人工歯根をつなぐ部品)を固定するネジがゆるんでいることがあります。インプラントは「人工歯」「アバットメント」「顎の骨に埋まったインプラント体(人工歯根)」の3つの部分から成り立つ構造です。


どの部分が動いているかによって、ネジの締め直しで済むのか、部品の修理や別の処置が必要になるのかが変わってきます。


歯ぐきの腫れ・出血・膿はインプラント周囲炎のサインのことも


歯みがきのときに血が出る、歯ぐきがはれてうみが出る、かむとにぶい痛みがあるといった症状は、インプラント周囲炎(人工歯根のまわりに起きる、歯周病に似た炎症)のサインかもしれません。進むとあごの骨がやせていき、人工歯根がささえを失うことにつながります。


インプラント周囲炎は、インプラントを入れている方ならだれにでも起こりうるトラブルです。また、過去に歯周病にかかったことがある方は、そうでない方に比べて周囲炎やインプラント喪失のリスクが高いことも示されています1。介護や仕事などで定期ケアの間隔が空いている方ほど、歯ぐきの変化に目を向ける必要があります。


噛み合わせの変化や食いしばり・歯ぎしりによる負担


無意識の歯ぎしりや食いしばり、周囲の歯の移動による噛み合わせのズレが、特定のインプラントに強い力をかけているケースもあります。上部構造(人工歯)の設計や形も、周りの骨の減り方に影響することがあります2。


再発を繰り返す場合や症状がなかなか落ち着かない場合は、その部位だけでなく、お口全体の噛み合わせや歯並び、さらには舌や唇・頬の力といった日常のお口の使い方にも原因がないか目を向ける視点が求められます。


「部品がゆるんだだけ」とは限らない―自分では動く場所を見分けられない理由


舌や指で触れて「少し動く気がする」と感じても、上の人工歯だけが揺れているのか、骨の中の人工歯根ごと動いているのかをご自身で見分けることはできません。天然の歯と違い、インプラントにはクッションの役割を果たす歯根膜(歯と骨をつなぐ薄い膜)がないため、感覚だけでは深部の状態を把握しにくいからです。


痛みが軽いからと「ネジがゆるんだだけだろう」と自己判断して様子を見るのは控え、歯科医院で状態を確認してもらいましょう。


ポイント

ぐらつきや痛みは部品のゆるみだけでなく、インプラント周囲炎や噛み合わせの負担でも起こります。ご自身では動いている場所を特定できないため、早めの確認が大切です。


受診を急ぐべきかの判断基準と、受診まで自宅で控えたい行動


症状の強さや全身の変化によって、当日中に連絡すべきか、数日以内の受診でよいかの目安が分かれます。受診までの間に悪化させないための注意点とあわせて確認してください。


当日中に連絡したい症状:強まる痛み・顔の腫れ・発熱・飲み込みづらさ


痛みが日ごとに強まる場合や、頬や顎の下まで腫れている、発熱がある、口が開けにくい・飲み込みづらいといった症状を伴うときは、当日中に歯科医院へ電話で相談してください。人工歯がはっきりと大きく動いている場合や、部品が外れてしまった場合も同様です。


強い炎症がまわりに広がっているおそれがあるため、予定をやりくりして早めにみてもらいましょう。夜や休みの日にこうした強い症状が出たときは、地域の休日・夜間の歯科の救急窓口に相談することも考えてください。


浮く感じや鈍い痛みが続くだけでも、数日以内の相談が望ましい理由


強い痛みがなく、食事のときに少し浮く感じがする程度であっても、数日以内に受診時期を相談することをおすすめします。ネジがゆるんだまま噛み続けると、内部の細いネジが折れたり、周囲の骨に偏った力がかかったりして、処置が複雑になることがあるためです。


また、治りにくい腫れやしこりが、口腔がんなど別の病気によるものであることもあります。口内炎などと思い込んで放っておかず、違和感が続くときは先延ばしにせず歯科医師の診察を受けましょう。


揺らす・締める・接着剤・残った抗菌薬…受診前にやめておきたいこと


受診までの間、どのくらい動くか確かめようとして舌や指で何度も揺らすのはやめておきましょう。ご自身で工具や爪を使って締めようとしたり、外れた人工歯を市販の接着剤で付けたりすると、精密な部品が傷つき修理が難しくなります。


また、以前に処方されて手元に残っている抗菌薬(抗生物質)を、自己判断で飲むことは控えてください3。似た症状でも原因の細菌がちがうことがあり、中途半端に飲むと、薬が効きにくい細菌(耐性菌)を増やすことにつながりかねません3。


食事・歯みがき・外れた部品の保管は症状に合わせて工夫する


受診までは患部側で硬い物や粘着性のある食べ物を噛むのを避け、反対側の歯で噛めるやわらかい食事を選んで負担を減らします。歯みがきは毛先のやわらかい歯ブラシで汚れをやさしく落とす程度にし、腫れや痛みがある部分に無理に歯間ブラシやフロスを通さないでください。


万が一、人工歯や小さなネジが外れた場合は、ティッシュに包むと捨ててしまいやすいため、清潔なチャック付き袋や小さな容器に入れて保管し、受診時にそのまま持参しましょう。


ポイント

強い痛みや顔のはれ、熱があるときはその日のうちに連絡し、軽い違和感でも数日のうちに相談しましょう。受診までは指や舌で揺らさず、市販の接着剤や手元に残った抗菌薬を自分の判断で使うのはやめておきましょう。


症状の記録と診察での確認、定期ケア再開までの相談の進め方


受診前に症状の経過をメモしておくと、電話での相談や診察がスムーズに進みます。歯科医院で行う検査と、原因に応じた対応の違いをまとめました。


いつから・どこで噛むと痛むか―医院に伝えたい症状メモの書き方


仕事やご家族の用事の合間に電話をする際は、あらかじめスマートフォンのメモなどに以下の項目を書き留めておくと、短時間で要点を漏らさず伝えやすくなります。


  • 症状が出はじめた時期:何日前から浮く感じや痛みがあるか
  • 痛むときと変わり方:かんだときだけか、何もしなくても痛むか、強くなっているか
  • 歯ぐきや体のようす:はれ、血、うみ、口のにおい、熱があるかどうか
  • ふだんの様子とこれまでの受診:歯ぎしり・食いしばりに気づいているか、最後に定期ケアを受けたのはいつか

予約の電話でこれらを伝えれば、どのくらい急いで受診すべきかの目安も案内してもらいやすくなります。


人工歯か人工歯根か、診察で動いている場所を確かめる方法


診察では、歯科医師が器具を用いて揺れの大きさと方向を慎重に確かめ、歯ぐきの腫れや歯周ポケットの深さ、噛み合わせの当たり具合を調べます。さらに、目に見えない骨の状態を把握するため、必要に応じてレントゲンや歯科用CT(顎の骨を立体的に撮影する装置)による画像検査を行います。


画像検査を組み合わせることで、ネジのゆるみだけなのか、人工歯根の周りの骨がどの程度保たれているのかを見極めます。


部品の締め直しで済む場合と、炎症や骨の治療が必要な場合の違い


原因と進行度によって、その後の処置や通院回数の目安は異なります。下の表の通院回数は一般的な目安です。


主な状態処置の内容通院回数の目安
ネジのゆるみ・人工歯のわずかな破損清掃とネジの締め直し、噛み合わせ調整、修理1〜数回程度
インプラント周囲粘膜炎・軽度の周囲炎専門的な清掃、洗浄、ブラッシング方法の見直し数回〜継続管理
進行した周囲炎・人工歯根自体の動揺外科的な清掃処置、人工歯根の除去や再治療の検討状態により複数回

インプラントの修理や周囲炎の処置は、自由診療(保険が使えない診療)になることが多いです。ただし、条件によっては保険が使える場合もあります。費用は処置の内容によって大きく変わります。


実際の費用や通院回数は、お口の状態や医療機関によってちがうため、診察のあとに歯科医師へたずねてください。


手術をともなう処置では、そのあと手術した部分がはれることがあります。はれ方は手術の内容によってちがいますが、少しずつ引いていきます。顔の一部に内出血が出て、紫色に見えることもあります4。


倉敷市の当院で、定期ケアの再開と今後の通院計画を一緒に考える


「しばらく定期検診に行けていないから連絡しづらい」とためらう必要はありません。早く相談するほど、簡単な調整や初期のケアで対応できる可能性が高まります。


治療をその場しのぎの「点」で終わらせず、一生歯で困らないようにするためには、噛み合わせや口腔機能を含めたお口全体のバランスを整え、定期的なメンテナンスを続けることが土台となります。倉敷市でインプラントの違和感にお悩みの方は、お仕事やご家族の付き添いなどのご予定も踏まえ、無理のない通院計画や定期ケアの再開についてまずはお電話でご相談ください。


よくある質問


Q. 歯やインプラントがぐらつく程度は、どのように判断されるのですか?


A. 歯科医院では、ピンセットのような器具でわずかな揺れを確かめる検査を行います。天然の歯は健康でもごくわずかに動きますが、骨と直接結合している人工歯根は本来ほとんど動きません。そのため、少しでも揺れを感じる場合は部品のゆるみか周囲の骨のトラブルが疑われます。


Q. 被せ物をしている歯やインプラントがグラグラするのはなぜですか?


A. インプラントの場合は、上の人工歯を留めているネジのゆるみや破損、または人工歯根を支える骨がインプラント周囲炎で減少していることが主な原因です。天然の歯に被せ物をしている場合は、土台の歯の根が折れている、むし歯が進行している、あるいは歯周病で骨が痩せているといった原因が考えられます。


Q. 根管治療中(根の治療中)に歯がぐらつくのはなぜですか?


A. 天然の歯の根管治療中にぐらつきを感じる場合、根の先にたまった膿や炎症によって周囲の骨が一時的に影響を受けていることや、仮の蓋が高めで噛み合わせの力がかかっていることなどが考えられます。インプラントには神経や根管はありませんが、隣の天然歯が原因で違和感が出ていることもあるため、歯科医師に伝えて確認してもらいましょう。


Q. 歯周病やインプラント周囲の骨の減少が進むと、顔の印象が変わることはありますか?


A. 歯周病やインプラント周囲炎が進行して顎の骨(歯槽骨)が大きく痩せたり、奥歯でしっかり噛めなくなったりすると、口元のハリが失われて頬がこけたように見えるなど、お顔の印象に影響することがあります。また、噛み合わせのズレが重なっている場合は、歯周病の管理とあわせてマウスピース矯正などで歯並びや噛み合わせのバランスを整える方法が検討されることもあります。


参考文献


1. Serroni M, Borgnakke WS, Romano L et al. History of periodontitis as a risk factor for implant failure and incidence of peri-implantitis: A systematic review, meta-analysis, and trial sequential analysis of prospective cohort studies. Clinical implant dentistry and related research. 2024. PMID: 38720611 / DOI: 10.1111/cid.13330

2. Lin GH, Lee E, Barootchi S et al. The influence of prosthetic designs on peri-implant bone loss: An AO/AAP systematic review and meta-analysis. Journal of periodontology. 2025. PMID: 40489290 / DOI: 10.1002/JPER.24-0144

3. 抗菌薬が効かない「薬剤耐性(AMR)」が拡大!一人ひとりができることは? | 政府広報オンライン https://www.gov-online.go.jp/article/201611/entry-10538.html

4. よくあるご質問 | 公益社団法人日本口腔インプラント学会. https://www.shika-implant.org/min-implant/faq/


山脇 将貴

歯科医師


山脇歯科・矯正歯科

院長

山脇 将貴

▶ 監修者プロフィール

経歴
平成11年 岡山大学歯学部 卒業
平成22年 山脇歯科医院 承継
資格・所属学会
日本口腔インプラント学会
日本臨床歯周病学会
日本接着歯学会
OJ正会員