
50代・60代で多く起きる問題がむし歯・歯周病によって歯を失ってしまうことです。
歯を失って考えることは「入れ歯・ブリッジ・インプラントどの治療が自分にとって適切なのか」ではないでしょうか。
もちろんそれぞれの治療にメリット・デメリットがあるといえます。
今回は50代・60代のシニア世代のインプラント治療について、メリットと注意点をお伝えしていきたいと思います。
年齢的なことも踏まえてインプラント治療が気になる方はぜひ参考にしてください。
目次
■50代・60代のインプラント治療
インプラント治療は50代・60代で歯を失った方への選択肢の一つといえます。
厚生労働省の歯科実態調査でも60代でインプラントを装着する人が多いと報告されています。
※厚生労働省「令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要」
まだまだ働き盛りの50代やこれ以上歯を失わず健康を意識する60代の方にとって、周りの歯に負担をかけることなく、しっかり噛むことができるインプラントはメリットの多い治療法です。
■シニア世代がインプラント治療を選択する6つのメリット
50代・60代の方がインプラント治療を選択するメリットについてお伝えしていきたいと思います。
◎見た目が自然
インプラントは見た目が天然歯に近く、自然である審美性が高い治療といえます。
入れ歯だと金属の引っ掛けが目立ってしまったり、ブリッジは金属やダミーの歯だとわかってしまったりすることがありますが、インプラントは選択する素材によっては天然歯に近い見た目を再現することができます。
◎骨の吸収を抑えられる
歯が無いまま放置していると、噛む刺激が伝わらず顎の骨はどんどん吸収されて痩せていってしまいます。しかし、インプラントを人工の歯根として埋入することで、噛む力をしっかり伝えられるため、顎骨の吸収を抑えることにつながります。
そのため、口元の老化を防ぎ、若々しい見た目を維持することが期待できます。
◎噛む機能の回復
インプラントはご自身の歯に近い感覚で噛む機能を回復することが可能です。
入れ歯やブリッジでも食事することができますが、入れ歯は外れたりガタガタしたりと不快に思うことがあり、またブリッジは噛む力を両サイドの支えている歯で負担するため、ご自身の歯と同じように噛むことが難しいと感じる方もいるでしょう。
その点、インプラントは単体で独立して骨と結合しているため、しっかり噛むことができる治療なのです。
◎認知症予防
インプラントを埋入することでしっかり咀嚼できるようになり、認知症発症の予防へと繋がります。
しっかり噛むことで脳が刺激、活性化され認知機能の維持・回復が期待でき、さらに誤嚥性肺炎の予防にも効果的です。
インプラント治療は口の中だけでなく全身の健康へと繋がる治療なのです。
◎他の歯に負担をかけず、歯の寿命が伸びる
インプラントは歯を失った部分だけの治療ができ、他の歯に負担をかけない治療です。
他の歯を削ったり、金属を引っ掛けたりなどの負担がないため、残存している歯の寿命が伸びる可能性が高くなります。
また入れ歯は約5年、ブリッジは約10年前後で交換や修理をすることが多いですが、インプラントは10~15年以上使い続けられることもあり、しっかりメンテナンスすることで、口の中の健康寿命も伸びることでしょう。
◎生活の質(QOL)の向上
失った歯の治療にインプラントを選択することで生活の質(QOL)が向上します。
インプラントは周囲の歯に負担をかけることなく、またご自身の歯のように違和感なく噛むことができるため、これまで通り食事を楽しんだり見た目に自信が持てるようになったりと日常生活が楽しくなるきっかけの一つとなるでしょう。
■シニア世代だからこそ気を付けるべきインプラント治療の注意点
若い世代と違いシニア世代だからこそ気を付けるべきインプラント治療の注意点は以下のとおりです。
◎全身疾患や服薬の有無
全身疾患や服薬はインプラント治療に影響する可能性があるため、必ず歯科医師に伝えるようにしましょう。
とくに糖尿病や高血圧などの全身疾患、女性であれば骨粗しょう症などがインプラント喪失のリスクファクターとなってしまう場合もあります。
飲んでいる薬によっては手術前に服用をやめたり、変更したりしなければいけないこともあるため、インプラント治療がスムーズにいくよう服薬情報も報告するようにしましょう。
◎インプラントの土台となる骨の状態
シニア世代になるとインプラントの土台となる骨の状態も、CT画像やレントゲン写真でしっかり確認しておく必要があります。
歯を失ってしまった原因が歯周病の場合や、歯を失ってしばらく経ってしまっているケースは、インプラントを埋入するのに十分な厚さ・量の骨がないことがあるため、骨造成の手術を先に行う必要があることも考えられます。
また骨粗しょう症傾向の方であれば骨がもろくなっていることもあり、手術中に追加で人工骨などを補填することもあるでしょう。
詳しくは「インプラントができない時に行う治療「骨造成」とは?」を参考にしてください。
◎治療期間が長い
インプラント治療は、ブリッジや入れ歯と違い外科手術を伴うため、治療期間が比較的長いです。
手術後はゆっくり休めるようにしたり、人工歯装着までのスケジュールを確保したりと数ヶ月かかる治療のため、仕事の調整や時間の確認が大切になるでしょう。
◎禁煙などの生活習慣の改善
インプラント治療において、生活習慣の改善も重要な要素のひとつです。喫煙は血液中の酸素濃度が低くなるため、傷の治りが悪くなってしまいます。そのためインプラント治療において、できれば喫煙を控えることが望ましいです。
また、歯周病のリスクファクターにもなる糖尿病はインプラントにも影響を与えることがあるため、数値をコントロールすることが大切です。
◎費用が高額になる
インプラントは原則、国民健康保険が適用されない自由診療のため費用が高額になってしまいます。また、骨の状態によっては骨造成などの追加治療が必要になり、さらに負担額が増えることもあります。
◎メンテナンスが必要
シニア世代はむし歯・歯周病に罹患しやすい年代であるからこそ、ベースのケアはもちろんインプラントに対するセルフケアも入念に行うことが大切です。
メンテナンスを適切に行うことで、インプラントは10~15年、またそれ以上使用できるケースもあるため、維持管理することで長期間ご自身の歯のように食事を楽しめるようになるでしょう。
【50代・60代でもインプラント治療が気になった時にご相談ください】
インプラント治療に遅い・早いもありません。
インプラントにおける見た目の改善はもちろんのこと、噛む機能を安定させ、日常生活の質を向上させることが期待できます。全身疾患や服薬がある方でも、コントロールできればインプラント手術ができるケースも多くあります。
一度装着したブリッジや入れ歯に違和感を感じているや、自身の歯のように食事を楽しみたい方など、インプラント治療が少しでも気になった時は、お気軽にご相談いただけたらと思います。


