「インプラントはメンテナンスが大変」と聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
インプラントは人工的な歯のため、天然歯とは違いケア方法に気をつけなければなりません。
ただしメンテナンスのコツを掴めばインプラントは長く使用できる治療方法です。
今回はインプラントにおけるメンテナンスの重要性とその方法についてお伝えしていきたいと思います。
目次
■インプラントのメンテナンスはなぜ重要?
インプラントのメンテナンスはなぜ重要なのでしょうか。
インプラントは天然歯と違い、骨と歯の根の間にある歯根膜というクッションが無く、インプラント体と骨(歯槽骨)が直接結合しています。
そのため磨き残しや過剰にかかってしまった力によって歯槽骨に負担がかかってしまい、インプラント周辺に炎症が起きやすくなってしまうのです。
インプラント周辺で起きてしまった炎症を「インプラント周囲炎」といい、インプラント治療後は特に気を付ける必要がある細菌感染症の1つです。
天然歯の歯周病と違い、歯根膜のないインプラントは細菌への抵抗力があまりないため、インプラント周囲炎は進行が早いと言われています。
放置しておくと「インプラントが使えなくなった、脱落してしまった。」ということにもなりかねないため、きちんとしたメンテナンスが必要になります。
手術して、ようやく噛めるようになったインプラントを長く快適に使うためにも、メンテナンスはとても重要といえるでしょう。
■インプラントのメンテナンス内容
当院では3ヵ月~半年に1回の定期的なメンテナンスをおすすめしています。
インプラント周囲炎にならないためにも必ず通院するようにしましょう。
メンテナンス内容は以下の通りです。
◎口の中の状態確認
確認する内容は以下のとおりです。
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歯周ポケットの検査(深さや炎症の有無)
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インプラントの動揺度(グラつき)
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歯ぎしりやくいしばりの有無
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噛み合わせのチェック
必要に応じて、レントゲン写真を撮影して骨の状態を確認することもあります。
◎クリーニング
口腔内を機械を使用して自宅では落とせない汚れを落としていきます。
歯垢(プラーク)が付着し、石灰化が進むと歯石になります。歯垢(プラーク)や歯石は歯ぐきの炎症の元です。
歯石が沈着してしまうとご自身のセルフケアでは取り除くことが難しくなるため、歯科医院での定期的なクリーニングを受けることが必要になるでしょう。
◎歯磨き指導
インプラント周辺を清潔に保つためには特殊な補助器具を使用するなど特別なケアが必要です。
必要に応じて患者さんに合わせた歯磨きや補助器具での清掃方法を当院の歯科衛生士がお伝えします。
■インプラントのメンテナンスを受ける頻度は?
インプラント周囲炎にならないためにもメンテナンスは3ヵ月~半年に1回は通院するようにしましょう。
炎症が起きてからでは健康な状態に戻すのに時間がかかってしまいます。
長く快適にインプラントを使用するためにも指示された通院頻度を守るようにしてください。
お仕事の繁忙期などがあり難しい場合は、その都度担当の歯科衛生士と相談するようにしましょう。
■インプラントを長持ちさせるために気を付けること
メンテナンス以外にもインプラントを長持ちさせるために気を付けることをお伝えしていきます。
定期的にメンテナンスに来ていただいていても以下のことが疎かになっていると、インプラント周囲炎が進行してしまう可能性があるため気を付けるようにしてください。
◎毎日のセルフケア
定期的なメンテナンスも大事ですが、普段からの毎日のセルフケアを怠ってはいけません。
メンテナンスは1年を通して2、3回です。
その間に患者さんご自身が歯ブラシや補助器具の使用を怠ってしまうと「あっ」という間に炎症は広がってしまいます。
インプラントを長く使うには、患者さんの日ごろのブラッシングと歯科医院でのメンテナンスの二人三脚で成り立っているのです。
◎喫煙習慣の見直し
喫煙している人は喫煙習慣の見直しが必要です。
喫煙によりインプラント周囲の血流が悪くなるため、炎症が起きてしまった際の組織の回復が遅れるだけではなく感染リスクも高くなってしまいます。
インプラントを埋入する手術後の回復にも影響するため、インプラントを考えている方は禁煙することをおすすめします。
◎糖尿病の管理
糖尿病と歯周病は密接な関係があるため、天然歯が歯周病に罹患している場合、インプラントにも注意が必要です。炎症を起こさないためにも、糖尿病数値の管理はとても大切といえます。
◎噛み合わせのコントロール
噛み合わせのチェックはとても大事です。
特にインプラントと対峙している歯が天然歯であれば、咬合力のバランスを整えることが重要です。
噛む力が強い人や歯ぎしりをしている人はナイトガードを装着するなど、噛み合わせのコントロールが必要になるでしょう。
【インプラントはメンテナンスとセルフケアの両立が大切】
インプラント周囲炎を予防するためにも、定期的な歯科医院でのメンテナンスは重要といえます。
ただし、歯科医院に通っているからといって、普段から患者さん自身のセルフケアをサボってしまっては元も子もありません。
特に歯周病になりやすい人はインプラント周囲炎にもなりやすいため、丁寧にケアする必要があります。
患者さんの口の中に合わせて担当の歯科衛生士が丁寧にケア方法をお伝えしますので、気になることがあれば遠慮なくおっしゃってくださいね。